2015年2月23日月曜日

PSO2と当たりIDの正体?

PSO2を遊んでいるとよく耳にする噂に“当たりID”なんてものがあります。
なんでも課金の仕方や好意的なブログの開設など、運営側にとって都合のいいプレイヤーにだけレアアイテムが出やすくなる仕掛けがあるんだとか。
もちろんそういう仕掛けが存在するという証拠はなく、公式ブログでも明確に否定されました。
ソースはこちら→公式ブログの該当記事へ

しかしそれでも、隠してるだけで本当はあるんじゃないかと疑う声は後を絶ちません。
私も当ブログで時々批判ととれなくもない内容も書いて来ましたから、ほんとにそんなものがあるのかどうかは心配です。
かなりデリケートな話題ですから好奇心でつっつくのは危険かなとも思ったんですが、今回はこの当たりIDとはなんなのか、思い切ってゆる考察いってみようと思います。

本題に入る前にまずはエクスキューズから。
この手の話題ではすぐにお前社員だろなんてお話になりやすいんですが、少なくとも過去から現在に至るまで、私はセガさんの関係者であったことは一度もありません。
また当たりIDなんてシステムはなさそうですョ、という内容ですが絶対ないと強硬に主張するものでもありません。
ここを御覧の方にも各々御主張はあると思いますが、是非ニュートラルな気持ちで読んでみてください。


さて、当たりIDがあるという人、ないという人の意見は決め手のないまま随所で対立していますが、ないと主張する人の意見でよく見かけるのが「確率で支配されているものだからバラツキがあって当たり前」というものです。

じゃ本当に確率からくるバラツキで☆12がひとつも手に入らない人と、☆13をぽろぽろ手に入れている人が同時に現れるものなんでしょうか。そこがわかれば、多少は当たりIDとやらの正体が見えてくるかもしれません。
まずはその辺りから調べてみましょう。

・・・と思ってはみたものの、数学は全然ダメな私ですから、バラツキを計算式で求めるのは無理です。確率とか分布とかが飛び交う授業は殆ど寝てました(゚ー゚;)。
実際のゲームで何人がどれくらいの確率に挑んでいるのかもわかりませんし、トラブやレアブ、クラス補正やクエ種別も絡んでコトは複雑を極めます。

そんな状況ですから、私のような不勉強でも扱えるすばらしいプログラム言語、昔々高校で習ったBASICに御登場願い、さらに事象をとっても単純化してプログラム?を書いてみることにしました。BASICの授業はなんとか起きてましたョ。
ちなみに擬似乱数の信憑性については今回考慮しません。そもそもPSO2のドロップも擬似乱数ですし、奇跡的な結果を含めて論じようとしてるわけでもありません。

そんなわけでそのプログラムに描いてもらったグラフがこれです。まずは縮小して手動で清書してあります。
レアドロップ数毎の人数推移グラフ
仮に0.2%のドロップ率で、3000回抽選があった場合のレアゲットした個数を求め、3万人のうち何人が何個拾ったかを集計してみたものと思ってみてください。

回を追うごとに減少していく黒い線がレアドロップ0個の不運なアークス。
青い線は一個拾った人の数が抽選回数を重ねるごとに推移していく様子を表し、ついで緑が2個、赤が3個という具合に続きます。

数値を変えながら何度か実行してみると、面白いことが解りました。

アクティブなユニークID数やレアアイテムのドロップ率等、運営サイドにしか分らない情報がないと当たりIDというシステムの有無ははっきりわからないわけですが、あるかないか推測するだけなら正確な数値は必要なさそうです。

例えば今回のプログラムでは参加人数3万人として計算してありますが、ここを変えても大まかなグラフの形は変化しません。
参加人数の差によるグラフの変化
御覧のように人数が多いほど曲線が滑らかになりますが、参加した人数に対する割合で見ると誤差の大小に過ぎません。


ドロップ率もグラフの大まかな形には影響しません。
レアドロップ率によるグラフの変化
左が0.5%、中央が0.2%、右が0.1%。左はドロップが増えるので拾った個数を30個まで求めておきました。
ドロップ率を上げると推移が速くなり、下げると推移が遅くなります。グラフの形でいえば横に伸縮するだけ。
試行回数は増やすほどグラフが横に伸びますが、グラフの形は全く変わりません。試行回数とレアドロップ率、このふたつはいわゆる“時間の問題”に過ぎないといえるでしょう。


これらの運営さんしか知らない情報が壁になって当たりIDの有無はわからないと思ってたんですが、この際推論までならそんな数値は必要ないってことでいいと思います。
つまるところ参加人数、試行回数、レアドロップ率がいい加減な値でも以下の推論は成立すると考えました。


ということで以下、私なりに考察いってみます。
いきなり個人的な感想になりますが、私は今回の結果、ちょっと怖いなと感じました。

例えば0.2%というレアドロップは言い換えれば1/500。
「0.2%なら500回抽選があれば1個は出る」
そんな風に考えてしまいがちです。

しかしグラフの横軸で切って試行回数の断面を数値で見ると、そんな単純な期待はどうもできそうにありません。

この棒グラフは試行回数500回が終了した時点での人数分布を表したもの。20回実行して平均をとりました。
縦軸は拾った個数、横軸が拾った数毎の人数を参加人数に対する割合で表したものです。

グラフを見ると、500回が終了した段階では36~7%もの人がひとつもレアを拾えていません。
反対にその時点で既に3個拾っている人は約6.1%、3万人なら1860人にも達します。非常に少数ですが、7~8個拾っている人もちらほら。この実行では既に10個拾った人も現れました。

1000回を数える頃になっても、やはり全くレアを拾えていない人は13~4%程度残ります。

1個拾っている人と2個拾っている人が多くなる中、ついに9個目を拾う人が低確率で現れ始めました。
非常に低い確率で書かれている11個や12個の数値は、20回実行してその数を拾った人が現れたこともある、という意味です。
極端な話をすれば1000回試行すれば1000個拾った人が絶対に現れないとはいいきれないのが確率というもの。
これにこだわると話がずれるので参考までに。

2000回になると人数分布も裾野が広くなってきます。

3個、4個あたりが分布の中心になり、棒グラフの重心は上に移動し始めました。これは多くの人がレアをゲットすることができたことを表しています。この状況でもレアを拾えていない人は1.79%。
グラフの上の方では14個以上拾う人も現れ始めました。回数を重ねるごとに“バラツキ”が出始めています。

そして3000回、もう背筋が凍るようなお話なんですが・・・実はこの時点でも0.25%、3万人参加なら数十人が、一切レアを拾えていません。
すでに分布の中心はレアドロップ6個あたりが中心になっていて、ごく稀に19個を拾っている人もいるという状態になっているにも関わらずです。

この不運な数十人は3万人ものアークスがいればほぼ確実に現れ、彼らの元に狙っていたレアが出る頃には・・・それはもうばら撒かれてゴミになっちゃってることになります。運悪くここにはまり込んだ人々が精神的に受けるストレスは相当なものでしょう。
これら4つの断面を順に見ていくと、棒グラフが次第に縦に長くなっていることが分かります。縦の長さは幸運な人と不運な人のレアドロップ個数の差ですから、自然現象として抽選回数を重ねるごとに格差が開いていくことになります。

こんな風にイメージしてみてください。

レア0個の人は1個目を拾うために0.2%の抽選に挑み続ける
同じ頃レア10個拾っている人も、11個目を狙って0.2%の抽選に挑んでいる

11個目を拾う可能性があるのは10個持っている人だけ。それでも0個の人と10個の人の間に当然ですがなんらハンデキャップは設けられません。
不運な人の中からより不運な人が選ばれ、幸運な人の中からより幸運な人が選ばれる・・・
それを繰り返すうち、最も幸運な人と最も不運な人の落差はどんどん拡がっていくのでしょう。

2013年7月に同時接続10万超を記録し、IDにすると350万突破という膨大なプレイヤー層を擁するPSO2。
正直なところ3年目を迎えれば確率も収束してレアドロップの不公平は軽減されているだろうと勝手に考えていました。
しかしプレイヤー数が多いということは収束して期待値に近くなるということではなく、奇跡的に不運な人が生まれる可能性が高くなるということ。
今回のプログラムで得られた結果は、逆にどんどん格差がひどくなっている可能性をも示唆しています。


ならばもし“当たりID”と呼ばれるものがあるとしたら、自然に現れるこの格差こそがその正体なんじゃないでしょうか。

レアを多数拾っている幸運なアークスの中には当然ブログを持っている人もいて、悪意はないにしろブログにレア自慢を書くでしょう。
不運なアークスの目に触れればそれはまさに“当たりID”そのものです。
逆に拾っていない人は自分の不運をわざわざブログに書いたりせず、ただPSO2を去るだけ。ブロガーにレアドロップが多いという噂も大方この辺りが原因になってるのかもしれません。
考えたくはありませんがそもそも・・・ブロガー全員が真実しか語らないという保証もないのです。
また、たくさん拾っている人はモチベーションも上がって抽選の機会が増え、レアが出ない人は萎えて緊急クエストを休みがちに。
そうでない人もいるでしょうが、数万人のアークスがいればそんな傾向は確実に現れます。
他にも俗に言う廃人プレイヤーとエンジョイ勢の格差。緊急の頻度がシップごとに異なる問題。固定メンバーを集められる人とそうでない人の効率の差等々。
そんな補正がいろいろかかり始めると、格差はどんどん開いて棒グラフは縦に伸びるばかりです。

「☆12さえ全く拾えていない人がいるのに、☆13をぽろぽろ拾っている人がいるのはおかしい」

確かにそういいたい気持ちは分かります。
しかしここで挙げた確率による分布に加え、二次的な要因も重なって格差が開き始めるとこのくらいのことは当然あり得ることになります。



ここまでを踏まえると、当たりIDという“システム”はどうやらない、と考えざるを得ません。
プログラムになんら仕掛けが施されていなくても、理不尽で不公平な格差は生じるのです。

しかしそれは、視点を変えれば当たりIDという“現象”なら存在するという意味に他なりません。
最も不運なプレイヤーも最も幸運なプレイヤーも、誰が意図したわけではなく確かにそこに現れるのです。

確率が支配するゲームシステムは不運というファクターに対して脆く、それによって現れる格差や不公平感はPSO2の様な宝探しゲームが自ずから持っている宿命的な欠点です。
問題の本質はむしろ、運営さんが「レアドロップを作為的にコントロールしている」ことではなく「レアドロップを作為的にコントロールしていない」ことにあるのかもしれません。
公明正大なレア抽選は確かに必須ですが、その上で必要なのは不運なプレイヤーをどう救済するのか、不運なケースの発生をどう防ぐのかという革命的なアイデアです。


そしてこの問題について、我々プレイヤーにできることは多くありません。
現象として起こる不公平を理解し、運営さんに対してはただ疑念をぶつけるのではなく、理性的な要望を挙げていくしかないでしょう。
そしてなにより、自分が不運な数%にはまり込まないよう、祈るしかありません。

例えPSO2が平等に作られていたとしても、現実は平等にはできていないのですから。